HISTORY OF ALOHA SHIRT Vol.003 / アロハシャツの起源と歴史③

TEXT: 東洋エンタープライズ (TOYO ENTERPRISE)

アロハスピリッツを世界へ届けた“着られる絵はがき”

 

1950年代に米国本土でハワイアンファッションの流行が巻き起こる。ひとつのきっかけは先住ハワイ人の血をひくオリンピック金メダリストのデューク・カハナモク。ハワイの観光大使として全米の主要都市を巡ったことで、彼の名を冠したアロハシャツのブランドは一躍有名になる。アカデミー賞を受賞した映画『地上より永遠に』(1953年)に登場するのはデュークのアロハだ。

 

(写真左)1953年の映画『地上より永遠に』で俳優モンゴメリー・クリフトは<デューク・カハナモク>のモンステラ・ボーダー柄を着用。(写真右)オリンピックの金メダリストとして活躍したデューク・カハナモク。当時のハワイで彼の名を知らない者はいなかった。

 

 

もうひとつ映画史に刻まれたアロハシャツといえば『ブルー・ハワイ』(1961年)でエルビス・プレスリーが着ていた《ティアレ・タパ》。他にもビング・クロスビーなどハワイを愛する様々なセレブリティたちがアロハシャツに身を包みながら、ハワイの存在とイメージを全米へ、そして世界へと知らしめた。

 

アロハシャツを着たエルヴィス・プレスリー。1950年代を象徴するヒーローだった彼の影響で、アロハシャツは米国全土に広まった

 

 

アロハシャツの歴史には、様々な文化の糸が複雑にしかも美しく織り込まれている。それは世界各地からの移住者が集い、摩擦を経験しながらも、互いの文化を尊重し共生の道を歩んできたハワイの歴史と重なっている。今やアロハシャツはハワイだけのものではない。世界中のクリエーターたちがアイデアの源泉とする場所であり、自らのアイデアを表現し新たな融合を生み出す場所でもある。ハワイが生み育んだ「アロハスピリッツ」は、アロハシャツという絵はがきに乗って今なお広がり続けている。

 

 

History of Aloha Shirt Vol.001 – アロハシャツの起源と歴史①

 

History of Aloha Shirt Vol.002 – アロハシャツの起源と歴史②